マンガン絣が出来るまで
マンガン絣とは、マンガンという鉱物を使って染めた糸を反応させ柄を出します。
反応しない通常の染料で染めた糸を織り交ぜることで絣の様に表現する、という大正4年に開発された技術です。
かつては新潟の見附の綿織物1位の生産量でしたが、時代と共に需要が減り、今は見附に残り1軒のみ加工所が残っています。
最後の1軒として、この技術が途絶えてしまわない様にレシピと作り方の動画を新潟の繊維協会に渡し、いつか誰かが受け継いでもらえることを願っています。
ですが、熟練の技術と経験値が必要なのでレシピを見て簡単に出来るわけではない為、後継者がいないという問題があります。
通常はマンガンの糸染めから加工仕上がるまで3ヶ月程度かかるそうです。
では、加工手順を見てみましょう!!
1、 糸をマンガンで染める
•マンガンで染めた糸と、通常の糸2種類を用意
•マンガンの工程は常温で行える(昔は高温をつくる環境が整っていなかった中でも出来る加工として作られた)
こちらがマンガン。ピンク!
奥が染めた糸。焦げ茶色に染まっています
2、 織る
•経糸は通常の染料の糸とマンガンで染めた糸を一本交互に織る
•この時点ではパッと見は無地の状態。柄はまだありません
経糸を整経する作業は地道で時間がかかります
まずは無地に織ります
(画像は別の生地を織っている時撮影したので別の生地です)
3、 柄をのせる
•マンガンと反応する糊を柄が彫られた版でのせる
版を機械にセットし、生地に糊を刷っていきます
よーく見ると柄が。
蜂蜜の様に見えるトロッとしたものが糊です
4、 柄がでる
•糊が付いた部分だけマンガンが反応し、柄になって出てきます
画像右側を見ると、小さな柄が出てきています
この時、お互いの糊が付かないようにおがくずをかけます。次々と出てくる生地にスコップでおがくずをかけていきます
出来上がった生地はこんな風です
5、 仕上げをする
•最後におがくずや糊を綺麗に洗い落とし、仕上げをします
何度も水を通して洗い流していきます
6、 アイテムになる
•こうして出来上がった生地を【stand】でどんなアイテムにするか。毎回生地の特徴や季節を考慮しながら考えます。
こちらはインディゴをベースにした素材で作ったシャツとパンツ
春夏の生地は麻とレーヨンの入った涼しげな素材。
水玉の柄もよく見ると糸一本交互に柄に染まっています
最後に小ネタ
この工場を見学させていただいている時に判明したことですが、一緒に同行してくださった立川織物の立川さんが工場を畳んだ時に売った織機が6台こちらで使われていました!
この織機は大洪水になった時に唯一生き残ったという経歴を持つ40年以上使われているものだそう。(工程2の織機です)
なんだか運命を感じます。ドキドキ
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